51パン職人の修造 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

東南駅から西に続く東南商店街

その真ん中にある人気パン店パンロンドでは今日もオーナー(通称親方)がパン工場の真ん中に立ってパンを成形していた。その周りには元ギャンブラーの佐久山浩太、のんべえの広巻悠二という古株の職人が2人と、イケメンで仕事のできるタイプで実はYouTuberの藤岡恭介、最近また髪の色が『肌の色に合うから』と明るめになってきた元ヤンキーの杉本龍樹、実家が呉服屋の花嶋由梨が忙しそうに働いていた。

由梨は綺麗な湖のほとりで藤岡に告白されて以降、夢の様なふわふわした毎日を送っていた。誰かから大切にされるってこういう事なんだわなんて実感している所だ。

先日も2人で動画を撮りに行って楽しく過ごした。

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さて

今日はその由梨と藤岡、そしてパンロンドの店員で杉本の彼女の森谷風花が杉本の家にお呼ばれで来ていた。

3人を呼んだのは杉本の両親茂と恵美子だった。

恵美子は一際明るい声で「まぁーみなさん今日はよくお越し下さいました。ゆっくりしてって頂戴ね」と言ってテーブルに頑張って作った料理の数々を並べた。

この場合1番気を使うのは杉本と付き合っている風花だ。

「私も手伝います」と、一緒に小皿や箸を並べた。

「あら、風花ちゃん助かるわあ。龍樹なんて帰ってきたらなーんにもしないのよ」そう言って渾身の笑顔を風花に向けた。

それを見ていた藤岡は「こりゃ取り込もうとしてるよね」と言葉に出したが

「取り込むって何をですかぁ藤岡さーん」自分の前にいっぱい皿を置いて鶏の照り焼きを頬張っている杉本に言われる。

「聞こえてたんなら言わせて貰うけど、お前がだらし無いから風花ちゃんを自分達の力でお前と結婚させようとしてるって事」

「えー、俺が結婚する日が来るとは思えないなあ」

「確かにな、ほんとに何も考えてないもんね」

「そんな事ないですよぉ」

「何がそんな事ないんだ龍樹、みんなで食べよう!風花ちゃん龍樹の横に座って!さあどうぞどうぞ。ローストポークもあるよ」父親の茂も笑顔を振りまいた。

茂が皿を差し出すと「風花ちゃん、私が取り分けるわね」と恵美子も連携プレーを取った。

みんなが談笑しつつ、と言うかさながら司会のように恵美子と茂が代るがわる話を振ってくる。

「由梨ちゃんは藤岡さんとお付き合いしてどのぐらいなの?まあ、フレッシュで良いわねぇ」

「藤岡君タワマンに住んでるんだって?眺め良いだろうなあ」

などと会話を広げた後、茂が最大限さりげなく「ところで風花ちゃんは結婚とかいつ頃したいとかあるのかなあ」と切り出した。

「えっ結婚ですか?」風花は疑問いっぱいの顔で隣に座って今度はピザをモグモグ食べている杉本を見た。

「まだまだと思います」杉本が結婚について考えてるとは到底思えないし、大事にはして貰ってるものの、真に信頼に値するかどうかはわからない。

まだまだと聞いて茂と恵美子は小皿か何かを取りに行くふりをして台所に集合した「お父さん、風花ちゃんの気持ちも分かるわね」「もし風花ちゃんに逃げられたらあいつに風花ちゃん以上の彼女が見つかるとは到底思えない!ラストチャンスかもしれないぞ母さん」

こそこそ話す2人を見て藤岡は笑いそうになった「大変だな」

食事会も終盤、藤岡は気の毒な2人の為に話を振ってやった「若くして結婚するカップルも珍しくはない。みんなでいい旦那さんを育てるという方法もあるよ」と、風花の方を見て言った。

それを聞いた茂と恵美子もウンウンと目を輝かせて頷いた。

それを聞いた由梨は「結婚」と呟いた。今のは杉本と風花の事と分かってるが、藤岡は自分の事をどう思ってるんだろう。いつか結婚とかする時が来るのかしら。

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次の日

昨日は特に茂達に何か答えを出した訳でもなく杉本に対して期待もしていないまま風花はいつもの様に仕事をしていた。

「風花、仕事終わったらもんじゃ焼き食べ行こう」

「良いけど」

「じゃあ後でな」

そう言ってパンを焼きに戻った杉本を見て風花は「本当に何も考えてないよね」と呟いた。そして横にいる柚木の奥さん丸子(まるこ)に昨日の事を話した。

「私は杉本君良いと思うけどなあ、ほら、以前も風花ちゃんの為に犯人を突き止めて捕まえてくれたじゃない?一緒に暮らして気楽な事と、何かあったら相談できる人、自分を裏切らない人。その3つがあればオッケーよ」

丸子はなんだか結婚式の挨拶の3つの袋みたいな話をした。

大金持ちでも居心地悪くては長く一緒にはいられない。

夕方

東南駅の裏側の通りにある行きつけのもんじゃ焼き屋で向かい合って座る。

風花はもんじゃ焼きをコテで掬ってフーフーしながら食べている杉本に「私達ずっと同じ空間に何年も一緒にいられるかな」と聞いてみた。

「俺は風花とならいられるな」

「そうかな」実際にやってみないとわからない。

「そういえば修造さんも結婚前に律子さんと同棲してたって言ってたな」

「知ってる、律子さんが修造さんのアパートに移り住んで来たのよね」

「2人とも1人暮らしだったから」

「それは素敵だと思うけどお、自分達の事になると話は別よね」

「なんでぇ」

「だって、ずっと自分の旦那さんを叱ったり注意したりするのって大変そうだわ、生活とか子育てとかあるのよ?」

「叱られるの前提かあ確かに大変そうだなあ」

「他人事じゃない」

明太餅もんじゃをふーふーしながら杉本はちょっと考えてみた。『結婚を申し込んだら絶対風花は俺に「〇〇したら結婚してあげる」とか言うんだろな』

「今度は何だろな」

「何だろなって何の事よ」

「えっ何でもないない、すみませーん!おばちゃーんチーズ追加」

話を誤魔化す為に杉本は店の女将に大声で追加注文した。

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休みの日、由梨と藤岡はYouTube用の動画「各駅停車パン屋巡り」を撮る為に日光に来ていた。

電車を降りる前から動画を撮り始める。

電車が去って行くのを撮った後、観光客の流れに乗って一緒に日光街道を動画を撮りながら歩き始めると、すぐに目的のパン屋さんにやって来た。

1階はベーカリー、2階はカフェで2人は可愛らしい小花柄の皿に乗って運ばれてきた厚切りのパンを3切れに切ったシナモントーストを分け合って食べた。

コーヒーを飲みながら2人はこれからの行き道について話したり、さっき撮った動画をチェックしたりしていた。

「この先の神橋の手前にも同じベーカリーがあるんだ、その横の坂を登った所にあるホテルにもパンが置いてるよ」

「はい、そのホテルって150年も前にできたんですか?」

「そうらしいよ、そのホテルでのパンの外販が始まったのが1968年だから55年以上になるよね」

「すごい歴史がある所なんですね」

「そこも後で覗いてみようか」

2人は店を出て、また歩いて赤い屋根で2階建ての建物の角にあるパン店に入った。

確かに歴史を感じる佇まいで陳列も上品だ。

「横浜の歴史のあるパン屋さんを思い出すな。雰囲気が似てる」

「そのお店も随分前に出来たんですか」

「確か明治半ばにできたんだよ、130年以上経つよね。そうだ、今度行ってみよう、言いたい事が伝わるかも」

「はい」

「そこ俺の実家の近くなんだ、ほら、こないだ言ってた満天星躑躅(どうだんつつじ)がある所」

「行ってみたいです」と言ってから藤岡の実家に行ってみたいと言っている事に気がつく「あの」ちょっと赤くなった由梨を見て、藤岡は微笑みながらねじりパンの『フレンチコッペ』をトレーに乗せた。

由梨は同じトレーにフルーツケーキ風の中味が入っている『ブランデー』という甘いパンをを照れながら乗せた。

「そこにも今度行ってみよう」

その後2人は神橋から川の流れを眺めながら話した「まだまだ行ってないパン屋さんがあるね」

「はい、どの店もお客様をお迎えする為に朝早くから色んなパンを作るけれど、どんな地域のどの店も同じパンじゃない、さっきのパン屋さんみたいに初代の製法を大切に守り続けて結果的にそれが地域の歴史を作ったり、パンロンドみたいに商店街に根付いて自ら作っていっている客層もあるんだなと最近になって気がつきました」

「そうなんだ!いい事言うなあ。そういう意味でも奥が深いよね、知らない事も沢山ある」

「はい」

そう言いながら信号を渡り、東照宮に向かって坂道を歩き出した。

「結構人が多いね」

最近は歩く時は手を繋ぐのが習慣付いていて、お互いの手の温もりが伝わり心も温かくなるのを感じていた。

幸せと言う言葉は最近になって初めて気がついた程、由梨は嫌な子供時代を過ごしてきた、街の人達に根も葉もない悪い噂話をばら撒かれて外を歩くのも辛かった。

「あの」

「うん」

「す、好きです藤岡さん」

「ありがとう、俺もだよ」

人に聞かれると恥ずかしいが、どうしても今伝えたかった。

「今日は由梨の写真をいっぱい撮ろう」

「はい、藤岡さんの写真も撮りたいです」

日光から帰った夜

藤岡がタワマンの自室で動画を編集していた時電話がかかってきた。

「はい、ああどうも、え?何故それを俺に?そうなんですね。じゃあ調べに行きますよ、それじゃあ」

そう言って電話を切った後「さてどうするかな」と大きな窓の夜の街を見ていた。

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次の日

パンロンドで作業中

藤岡は親方にお願い事をした。

親方の返事は「勿論いいけど杉本は何て言うかな」

「何も言わずに協力すると思います」

「そう?」

親方は杉本に手招きした。

「何ですかぁ親方」

「お前な、転職しろ。明日から横浜の工場へ行ってもらうから」

「えっっっっ」目を見開いた杉本の額から汗が流れた。

「パンロンド2号店?」という問いかけに親方と藤岡が違う違うと手を横に振った。

ーーーー

その翌日

親方の言った通り本当に横浜の工場にやって来た。

1人で工場の裏側みたいな所に立った。

「ここ?」工場の周りは高い塀で覆われて入り口がよくわからない。

「広いな」やっと裏門みたいな所を見つけた。この周りだけはブロック塀では無く白い鉄製の柵になっていて、植え込みの間から中が見える。

門の向こうに4人男が立っている。

「ユニフォーム着てるからここの人だよね」杉本は隙間から顔をつっこんで覗いた。

「明日、分かってるな」

「はい」

「14時決行だ」

「はい」

4人は打ち合わせ中らしく真剣な面持ちだ。

年齢はばらつきがあり、50歳ぐらいの目が細くて釣り上がった男の名札には足打と書いてある。その隣の40ぐらいの男は最上、後の2人は若くて大島と京田。

「あの〜すみません、今日からここで働くらしい杉本なんですけどぉ」

「今日から?らしいってなんだ」

「聞いてないな」

「大和田って人に会えば分かるって言われて」

「大和田工場長の事かな」

「他にいないだろ」

「じゃあ入れよ」

杉本が中に入って建物のドアを目掛けて歩き出すと「待て」と年配の男が引き留めた。

「お前俺達のさっきの会話聞いてただろ」

「何の事ですかぁ」

「聞いてなかったのかな」

「何の事かわからないのでは?」

「まあいい行け」

そう言われると気になる。

何て言ってたっけ?明日14時ケッコウ?

ケッコウです?

「コケコッコー」と言いながら工場の裏口らしい鉄のドアを開けた。

振り向くと4人の姿は消えていた。

「大和田工場長いますかー」

小学校程の大きさの施設の中は概ね2つに仕切られていて、一つは工場に入らなくても通れる様になってる入口から出口まで続く通路で、もう一つは工場だ。ガラスで仕切られていて通路からも中で作業をしているのかよく見える。工場は奥の機械の所から大型の装置が延々と繋がってそのまた奥へと伸びている。

「大きな工場、それにいい匂い」

機械の部屋の方からライトグリーンの作業着を着た体格のいい50代ぐらいの男が走って来た。

「杉本龍樹君?」

「そうっす」

「君天才って聞いてるけど」大和田悟は上から下まで杉本を見回した。どう見てもアホっぽい元ヤンだ。

「そう、俺天才なんすよ。書いたら色々覚えられるんで、でも勉強は嫌いかな」

(ご存知の方もおられるかもしれないが、杉本は書けば何でも覚えられる、なので取り敢えず何でも書くように藤岡に躾られている。ただし本人も言っているように勉強する気は無い)

「へぇ、杉本君ここの施設について説明するよ」大和田は天才の話は嘘だったと思いもうそれ以上は聞かず、施設の説明をする為に歩き出した。

「ここって何を作ってるんですかぁ」

「何も知らずに来たのか?ここは藤丸パン横浜工場だよ」

「えっ俺小学生の時の給食のパンが藤丸パンでした!すげ〜」

「藤丸パンは3代続く製パン工場なんだ。横浜は勿論関東一円にパンを卸している」

「スーパーでお母さんが買って来てます」

「そう?」大和田は満足気に頷いた。

大和田と杉本はまず宇宙服のような繋ぎに長ぐつ、マスクとネット帽子に着替えた。その後風を浴びて消毒液の上を歩いて中に入った。

巨大な漏斗から材料がミキサーに流し込まれて生地が大型のミキサーで捏ねられる所を見学。生地が捏ね上がると巨大なボックスに流し込まれる「すげー」もう少し進むと分割された生地が絶え間なく流れてくるレーンをみた「すげー」そして長い長いオーブンから焼きたてのパンが流れてきて、最後は自動で袋に入れられた後、箱詰めされて出荷されていく「すげー」

「面白いだろ?」

「初めて見たな、パン工場」

「今日は何しに来たか分かってる?何か分かったらメモして私に渡すようにね」

「はあ」

「あ、ここで待ってて、電話がかかって来たから。はい大和田でございます」と、ちょっと離れた所に走って行った。

「俺、何しに来たんだっけ?」昨日藤岡に指定された住所に行って何か探って来いと言われた「無茶言うな」とりあえずそこにあったホワイトボードに今日の事を書き出す。

明日だから18日

14時結構、血行、ケッコウ、決行

4人

大和田工場長

トンネル型オーブンは長い

俺はイケメン

「このぐらいかな」とペンを置くと同時に

「あんた何やってるの?」と50ぐらいの女性が声をかけてきた。名札の名前は小田だ。

「今日のトピックを書いてて」

「あんた見かけない顔だね、新人かい?年はいくつなの?」

「今日初めてここに来ました、新人の杉本君です。21です」

「あれ!おばちゃんの息子と同じだよ。可愛いねぇ」

「可愛いでしょ」

「ところでこの4人って何の事だい」

「裏にいた4人の男が相談してて、明日14時ケッコウだって」

「何を?」

「わかんない、何だと思う?」

「うーん多分この4人は足打達だね。あたしゃこいつにお金を貸しててね。なかなか返さないんだよ」

「悪いやつだなあ」

「多分何か悪巧みしてるんだよ」

「そうかなあ」

「そうだ、これも書いておこう」ホワイトボードに4人組の名前を書いた。

そこへ大和田が戻ってきた「小田さん、今日は杉本君を面倒見てくれない?色々教えてあげてね」そして杉本には「頼んだぞ」と言ってきた。そして杉本が書いた文字を写メで撮って何処かに送信した後慌てて消していた。

「わかりました、じゃあ行こうか杉本君」

「はーい」

2人は流れてきたパンをチェックする所に行った。

6レーンで流れてくる小型のあんぱんの変な形のものをはねるのだ。

小田はこういうのとかああいうのはダメとか説明して一緒に作業を開始した。元ボクサー志願者だった杉本は動体視力を鍛えていただけあってすぐにベテラン級の仕分けをして周りにいるパートのご婦人方を驚かせた。

「あんたできる子じゃないの」

「でしょ」

「ここが包装前の最後のチェックポイントなのよ、この前にも異物混入を防ぐふるいにかけたりX線で異物がないか見てるの、コンピューター制御されててね、それは工場長だけがパスワードを知っていて厳重に管理されているのさ」

「へぇーっすごーい」

「もしこんな大きな工場で異物が混入してたら怪我や健康被害への賠償金とか商品の自主回収、営業停止になってニュースに出て会社が傾いたらあたしゃ路頭に迷うよ」

「こわーい」

「だから気をつけないとね」

「はーい」

ーーーー

夕方

杉本がパンロンドに戻ってきた。

親方が声をかけた「よう、お疲れさん」

「ウイッス」

「今日どうだった?」

「藤岡さ〜ん、自分で行けば良いじゃないですか〜」

「それがダメなんだよ、だからお前が行ったんだろ」

「そうなんですか〜」

「で、何かわかった?」

「明日14時ケッコウ、って4人が言ってました。それと金を返して欲しいおばちゃんが1人」

「明日なのか、、、その4人ってどんな奴?」

「50歳ぐらいの足打と40ぐらいの最上と、大島と京田です」

「それと?」

「それと今日俺は(おばちゃん達に)モテモテでチヤホヤでした」

「それは良かったね。明日も行ってくれな。何かわかったら俺と大和田さんに電話してくれよ」

「はーい」

「モテモテでチヤホヤってどういう意味かしら」と話を聞いていた風花が由梨に聞いてきた「さあ、私にもわかりません」しかし藤岡が何を考えてるのかもわからない。

「風花、もう帰る時間だろ?送ってってやるよ」

「うん、龍樹、今日どこへ行ってたの?」

「藤丸パン横浜工場」

「えっ藤丸パン?なんで?」

「わかんない。見聞きした事を言うように言われたな」

「明日も行くの?それともずっとそこで働くの?まさか危険な事じゃないよね?そんなスパイみたいな事」

「スパイ?今日は変な形のパンを仕分けしてたけど?じゃあ俺明日早く出かけるから」

「わかったおやすみ」風花は繋いでいた手を離して杉本を見送った後無性に心配になってきた。

知り合ってからパンロンドでずっと一緒に働いてたのに急に他所で何をしてるのかわからない。凄く距離が離れた気がする。

「大丈夫なのかしら」

ーーーー

次の朝

横浜工場の朝は早い。

もうとっくに皆働いているが杉本は6時出社と言われていた。

丁度昨日の4人が裏庭で屯している。

植え込みの影に隠れてちょっと話を聞いてみる。

「昨日パスワードを書き換え済みだ」足打が言うと

「その後で機械を操作してあれをばら撒くぞ」最上も残りの2人に言った。

「はい」

パスワード?ばら撒くの?何をばら撒くの?

4人が歩き出したのでとりあえずつけて行く事にする。

工場の中に入り、歳上の2人と若者2人は別れて歩き出したので歳上の方について行く。

足打の持っていたファイルからメモらしきものが落ちた。

「おっ」

それをすかさず拾う。

大文字小文字と数字がいっぱい書いてあるのでまたそこにあったホワイトボードに書き写した。

「おい!何やってる!」

「あ、探しに戻って来た」

「こいつ昨日の」

「やっぱり怪しい奴だったんだ!メモを返せ!」と言ってメモを取り上げてホワイトボードの文字を慌てて消した。

「あんた達の方が怪しいでしょーよ」

「うるさい!来い!」

「そうは行くか!」

杉本は足打の手を振り払い拳を握って2人にファイテイングポーズを取った途端後ろにいた男に棒の様な物で頭を殴られた。

「いたたた」

足打達は倉庫の隅の扉付きの収納部屋に杉本を連れてきて口をガムテープで塞ぎ、両手を後ろで縛って閉じ込めた。

「時間までここで大人しくしてろ」

ーーーー

藤丸パン横浜工場の表玄関では大和田工場長と木山課長が並んで立っていた。

「もうそろそろ来られるな」

「後何年かしたら次期社長になるんですかね」

「そうなると社長もお喜びになるんだが、今の所そんな気はなくて困っていらっしゃる」

「ふーん、あ、あれ来ましたよ」

スーツが決まっている次期社長が早足で歩いてきた。

「ようこそお越し下さいました」

「大和田さんご無沙汰しています。昨日メールありがとう。早速行きましょう」

そういうと工場に入って行った。工場の裏側は昨日杉本が入って行った通りだが、表から入ると事務室や応接室があり、その横は配送の為の広い施設がある。その場所から関東一円にトラックでパンが運ばれていく。

「足打達4人を呼んで下さい」

「はい」木山課長が4人を呼びに行った。

ところが

待てど暮らせど木山が戻ってこないし4人も来ない。

「遅いな」

「どうなってるんでしょうね」

「見に行こう、案内して貰えますか」

「あっちです」

館内にある工場の横道から作業中の従業員を見ながら探したが「いないですね」とうとう裏の扉までたどり着く。

「外に出てしまいました」

「何処に行ったんだ」

「ここだよ若様」

「お前が足打?」

ーーーー

話は少しだけ遡るが

藤丸パン横浜工場の裏口付近にあまりにも杉本を心配し過ぎている風花とそれに着いて来てと頼まれた由梨の姿があった。

「ここのはずなんだけどいるかな龍樹」裏口付近の鉄柵から顔を突っ込んで覗く。

「中で働いてるんじゃないですか?」

「スパイなんて大丈夫なのかな?」

そう言われると心配だ、しばらくの間2人はじっと建物を見ていた。

するとここの従業員らしい4人が出てきた。

「ねえ、あれって龍樹の言ってた4人組かな?」

「どうなんでしょう、何を話してるんでしょうか?」

由梨が聞き耳を立ててると風花が「ねえ、あれ見て?あの陰から見てる2人」

「あっ」由梨が驚いたのも無理はない「鴨似田夫人のお付きの2人だわ」

その2人とは鴨似田フーズの従業員歩田と兵山だ。何故か木の陰から4人の様子を窺っている。

「何してるのでしょう」

風花は2人に近づいて小声で「ちょっと」と合図してみた。

歩田が気がつき由梨に頭を下げた。

「何してるの」

「奥様に言われてあの人たちを見張ってる所です」兵山も顔を近づけて来て小声で言った。

「何で」

「それは」と言いかけた時、1人の作業員が出てきて4人に声をかけた「次期社長がお前達を呼んでこいとさ」

「あの新人の杉本って言うのからやっぱり情報が伝わったんだ」

「そいつは?」

「倉庫に閉じ込めてます」

「そうか」

それを聞いて風花は死ぬほどびっくりして心臓がバクバク言い出した。

「龍樹が」足が震えて止まらない。それを見た由梨が、騒いで捕まるより4人の後を付けようと思ったその時、大和田達が裏口から出て来た。

「あっ」それを見て由梨も心底驚く。

そしてさっきの会話に続く。

「ここだよ若様」

「お前が足打?」

「あっ!木田!何やってる。お前は何でそっちにいるんだ」

「工場長、あんた何も知らなかっただけなんだよ、計画はずっと前から始まっていたんだ」

「馬鹿野郎!何をする気だ!」大和田は木田に掴みかかったが逆に足を引っ掛けられて押さえつけれる。

「やめろ木田!」

「若様なんて言われるのも今のうちだよ。お前の父親には悪いがこれから藤丸パンは終わりを迎える。大量に細かい針先の入ったパンを販売して失脚して貰う」足打が上擦った声を出した。

「そうはいくものか!AIセンサーがついてるんだ、金属片などの異物が入った物は跳ねられる」

「反応しない様にすればいいだけの話だからな」

「パスワードが無ければ変更できないんだから無理だろう」大和田も言った。

「大和田さん、あんた油断して俺と一緒の時にもパスワード打ってただろう」

「うっ」

「もうすでにパスワードを変更してある」

大和田は押さえつけている木田を跳ね除け制御室に走って行こうとしたが京田達に取り押さえられ、刃渡り10センチのナイフを首に当てられる「ううう」

「おっと、もう13時を過ぎている、14時からはいよいよ藤丸パンで1番売れているバターシュガーブレッドの※本捏ねの時間だ、俺たち準備があるからそれまで大人しくしてて貰おうか。おい!若様。お前も来い!大和田が怪我してもいいのか」なんと2人は捕まって連れて行かれた。

風花と由梨は慌てふためいて歩田に裏門の鍵を開けて貰い急いで裏口から入った。

「どこの倉庫?」

ーーーー

倉庫で縛られていた杉本は誰かが鍵を開けている音を聞いて口を塞がれながら「ふがふが〜(助けて〜)」と騒いで足をバタバタしたが、押し込まれた2人を見てびっくりした」「ふがふがふが(藤岡さん)」

「杉本」口を塞いでいたガムテープを取ると「藤岡さん何で捕まってんですかあ?得意の一本背負いで投げ飛ばしてやれば良かったのに」と巻くし立てた。

「スーツが苦手なんだよ、動きにくくて。それを言うならお前だって何捕まってんだよ」

「だって後ろから両腕を捕まえられたんだもん。俺前からの攻撃しか無理ですよお」

「全く」

「若様、何とかここから出ないと」大和田がドンドンと扉を叩いた。

鍵が付いてるが開けようとしても両開きのドアの取っ手は外側から針金が巻かれていて動かない。

「警察は?」

「スマホを取られた」

「クソ!おーい!誰かいないのかー」

ドンドンと扉を叩く音を聞いて風花が「由梨ちゃんあれ!」と走って行った。

由梨と風花が必死になって針金を外そうとしたが結構硬い「ペンチ探して来て!」とすごい形相の2人に言われて歩田が「はい」と走り出した。

「待ってられない」由梨はドアノブを拳で叩き続けた。

平田がパイプを持って来た「これ」と言ったが早いか由梨が受け取ってドアノブに叩きつけた。

「龍樹!内側からも何かできないの?」風花がドアに向かって叫んだ。

「え?何でいんの風花!」

「後で言うから早くして」

「はいよ」

と鉄製の棚に乗っていた資材急いで除け、3人で持ち上げてドアノブに叩きつけた「うおりゃあー!」

外からと内からの攻撃でドアノブを破壊した「よし!開いたぞ」

「藤岡さん」急いで出て来た所に由梨が立っていた。

「由梨」

と言いながらそのままの勢いで大和田と藤岡は制御室に走って行った。

「待って〜」と杉本達他の者も続く。

「足打!許さん」

ーーーー

丁度制御室から足打と木田が出て来た。

「木田思い直せ!機械を停止させろ」

「すみませんが大和田さん、センサーは止めさせて貰いましたよ。もう14時だ、最上達が生地に金属片をばら撒いた頃です。このまま生地はレーンの流れに乗ってケースに入れられ発酵した後焼成、冷却包装、出荷だ」

「なら今からまだ止めるチャンスはある!」

「そう、だからもう少しお前らを何処かに閉じ込めておかないと」

「出荷が終わって販売されるまでな」木田はもう一度ナイフを取り出した、切先を藤岡に向けた瞬間「あぶない!」と由梨が前に立ちはだかったがその次には「防ごう異物混入!食の安全宣言!」と叫んだ杉本のパンチが木田の顔面に当たり「ふがっ」っともんどり打って床に倒れた。

「俺は怒ったぞ!大体普段から異物混入を防ぐために修造さんからうるさく言われてたのに、人様の口に入る物に何て事を!」杉本は足打ちを怒鳴りつけた。

「本当だ」大和田も説得にかかった「足打!ギャンブル癖はあるが普段真面目に働いてたお前が何だってこんな大それた事をするんだ、今ならまだ間に合う、やめなさい」

「大金が手に入るんだ、借金も返せる。何だってやるさ」

落ちたナイフを足打が拾って再び藤岡に向けた時、今度は由梨を杉本の方に避けた後ナイフを持った手を払い左手で襟を掴んで投げ飛ばした。

壁に打ち付けられた足打のナイフを兵山が隠して歩田と一緒に取り押さえネクタイで後ろ手にして手首を結んだ。

「おい!パスワードを教えろ!金属片除去のセンサーを作動させるんだ!」藤は足打の襟を再び掴んで揺さぶった「教えませんね〜」と憎たらしい言い方に藤岡がむかついたその時「あ、俺それならわかるかも」と、まだしかめ面の杉本がセンサーの前に進んだ。

「龍樹、ほんとなのそれ?」

「うん、工場長、どこにパスワードを打つの?」

杉本に促されて大和田がパスワードを入力する画面を出した。

「えーとぉ」ぽちぽちと長い長いパスワードを打ち大和田に「次へ」のボタンを押して貰った。

「開いた!」全員が驚いてる中大和田が急いでセンサーを作動させた後、バターシュガースコッチブレッドのレーンの機械を全て停止させた。

「これで一安心なのかな」機械の動きが止まって工場で働く従業員が驚いてざわめき始めたのを見ながら杉本が言った。

「念の為今日の午後からの出荷分はストップさせて下さい」

「はい、若」大和田が制御室から作業員に連絡した。

「大和田さん、急いで他の奴らの所に行きましょう、捕まえないと」

「僕たちさっき奥様に電話しました」足打を捕まえたまま歩田と兵山が声を揃えて言った。

藤岡は一瞬由梨の方を見て「杉本!あぶないから由梨と風花を連れて帰ってくれ」そう言って走り出しながら何故2人がいるのか不思議だった。

「それに何故鴨似田夫人なんだ」そう思いながら表玄関まで走った時、平静を装って入口から逃げようとしている最上たちに追いついた。

「あっあいつら何で出て来れたんだ」大和田と藤岡を見て3人は走り出した。

その時

「ちょっと待ちな!」

工場からエントランスに出る廊下の途中で、向こうから20人小田達パートさん軍団が最上達を取り囲んだ「あんた達容赦しないよ」

「レーンが止まったのはあんた達のせいらしいじゃん」

そしてその向こうから鴨似田夫人がゆっくりと歩いてきた。

「皆さんお待ちになって」

突然現れモデル歩きでやって来た鴨似田夫人を藤岡達も最上達も口を開けて見ていた。

大和田は「鴨似田さんどうなさったんですか?うちのパートさんを引き連れて」と聞いた。

「私(ワタクシ)今日のことは随分前から知っておりましたの」

「えっ!木田たちの悪巧みの件をですか?」

「ええそうですわ、大和田さんに電話でお知らせしたのはうちの歩田ですもの」

「確かにうちの中の何者かが何か企んでると電話があって若にお知らせして今に至りますが一体何故」

「定期的に藤岡さんにお変わりがないかうちの者に調べさせておりましたの、なので小娘と日光東照宮に行ってた事も、藤丸パンが乗っ取られようとしている事も存じていましたわ」

「乗っ取り?どういう事ですか、て言うか日光に行ってた事も知ってるじゃないか」藤岡は心底驚いて言った。破天荒とは思っていたが度を越している。

「誤解のない様に言っておきますが、私ストーカーではございませんの、あくまでも藤岡さんのお幸せを願っての事ですわ」

「それで?乗っ取りのことを説明して頂けますか」と大和田が本題に戻した。

「買収ですわ、異物混入事件を起こした企業が回収の為に世間にその事を知らせなければならず、企業への不信感が生まれて株価が下がった所を買い占めて乗っ取るんですの」

「株主総会で解任議決がなされて経営者が解任させられるし従業員も生活の不安にさらされる」と大和田も言った。

それを聞いた小田達も「冗談じゃないよ!私達は誇りを持ってここで働いているんだよ、あんた達にしょうもない邪魔されてたまるかってんだよ」

「そうじゃんそうじゃん」

「観念しなよ!警察に突き出してやる」と言いながら4人を連れて行った。

藤岡は鴨似田に初めて向き合って「ありがとうございました」と頭を下げた「乗っ取ろうとした企業名を知っていますか」

「それは分かりませんの。おそらくさっきの者達も仲介の者の偽名と電話番号しかわからないと思いますわ。それに気をつけないとこれから先もいくらでもこのような事がありましてよ。いつまでも今のままで良いのかしら」

そう言っていつの間にか夫人の横にいた歩田と兵山に「帰りますよ」と言ってモデル歩きで去っていった。

「かっこいい」と大和田が呟いた。

実際、売れ筋のバターシュガースコッチブレッドは午後からできた分は出荷停止になり販売店や卸先に迷惑をかけたが大和田が機械の故障と連絡していた。

「若、会社が買収されることを考えたら安い物ですよ」

「大和田さん、今日はお疲れ様でした。俺今日は考えさせられました」

「後のことはお任せ下さい」と機械類の徹底清掃の為に大勢の従業員が集まっている所に指示をする為に戻っていった。

藤岡は1人駅まで歩きながら鴨似田夫人が最後に言った言葉について色々考えた。

ーーーー

夕方

由梨は杉本と風花と東南駅に戻ってきた。

「ほんとよくパスワードを覚えてたわよね、役に立てて良かったわ」と赤い顔をした風花が何度目かの心からの安堵を杉本に示した。

「かっこよかったでしょ」

「まあね、すごく心配だったから龍樹達が助かって良かったし、由梨ちゃんも安心したでしょ」

由梨はさっき藤岡から電話があって解決したと聞いてホッとしたが自分が不甲斐なく、何も力になれなかった事で落ち込んでもいた。

「それにしても藤岡さんが藤丸パンのご子息だったなんて驚きよね、タワマンに住んでても不思議じゃないか」風花が興奮冷めやらぬ感じで言った。

それは由梨も思っていた、動画配信やパンロンドのお給料では無理なのではないかと薄々考えてはいた。

「良いわね由梨ちゃん、イケメンでリッチよね藤岡さん」

「あっ何風花!俺の方がイケメンなのに」

「ちょっと!どこがよ?」

なんだかんだ言っても結局仲の良い2人は、駅で由梨に挨拶して手を繋いで歩き出した。

「あのさあ風花」

「ん?」

「今日俺が心配で横浜に来たの?」

「うん、そう」

「あぶないから今度からしちゃだめだよ」

「だって」

風花は気が強いがこんな時いじらしくて可愛らしい。

「そこがキュンとする所」

杉本は風花の手をグッと握って聞いた「あのさあ風花、もし俺が結婚したいって言ったらその代わりに何をする感じになるの?」ずっと聞きたかった事だった。

「何をする感じって、、、?」

「あっ良いのいいの。また今度ね」

「もう、何よそれ」

「ははは」

夜の涼しい風に吹かれながら2人遠回りして帰った。

ーーーー

仲の良い2人と別れた後、由梨は家路についた。

部屋で1人自分の思っていた藤岡とは違う姿の『若』と呼ばれる人は一体誰だったのか考える。強くて問題解決の為に走っていく所を思い出し、それに比べて自分が何も出来ないコンプレックスでいっぱいの存在な気がする。

今迄ガムシャラに着いてきたけれどそれは厚かましかったのかな。

日光で見た人とは違うの?

それに、必死だったとは言え外れもしない針金を素手で叩いたり、藤岡を助ける為に前に出たもののすぐ後ろに押し戻されたりと思い出しても恥ずかしい。

由梨が物思いに耽っていると母親がドアをノックした「由梨、藤岡さんが見えたわよ」

「え」

由梨が部屋から出るとリビングに藤岡が立っていた。

「由梨、今日はなおざりにしてしまって悪かったね」

「私今日は邪魔ばかりしてしまって」

「邪魔?まあ何故来たのかは電話で杉本に聞いたよ」藤岡はいつもの笑顔で言った。

「今日は俺が閉じ込められた扉の針金を外す為に凄い形相で鉄パイプを握ってたと聞いたけど」

「凄い形相、、、ひたすら恥ずかしいです」

「それに俺を庇った」と言って由梨の手を握った。

「由梨ありがとう、また俺を守ってくれたね」

ドアノブを叩いた時、手が傷だらけになって絆創膏が各指に巻かれている。

藤岡はそれを見ながら手を優しく包み直した「由梨、俺は今まで4代目になって責任を負うのが嫌で逃げ回っていたんだ。だけど今日は考えさせられたよ。やはり守らなくちゃいけないものはあるんだ、今のままではいられないんだと」

今のままではいられない、それを聞いて藤岡が遠くに言ってしまうのかとドキッとした。

もしそうならパンロンドの様にもう追いかけていくことは出来ない。

もし藤丸製パンに入るなら正社員への道はのりは遠いし、パートでお勤めすると次期社長に中々会えないだろう。

「だから由梨」

「はい」由梨は覚悟して聞いていた。

「この先はもっと助けて貰う事になるかもしれない」

「え」由梨はびっくりした「わ、私会社の事は何も分かりません」

「それは俺も同じだよ。これから何もかも新しい生活を2人でやっていかないかと思って」

「一緒に」

「そう、俺には由梨が必要なんだ」

いつか湖で同じ言葉を聞いたその時のままで藤岡は言った。

同じなんだわ、今日の藤岡さんもいつもの藤岡さんも「わかりました、事務でも何でも頑張ります。私でよければお手伝いさせて下さい」

リビングの陰で聞き耳を立てていた由梨の両親は

「ん?あれってプロポーズじゃないのかな」

「そうよねぇ」と小声で言った。

おわり

お話の中のパン屋さんは日光の金谷ホテルベーカリーです。
日光の駅の近くには5軒販売所があります。
金谷ホテルベーカリーは1873年(明治6年)にカッテジインが開業されるところから始まりました。その後日光金谷ホテルとして営業を開始。
1925年に入社してきた川津勝利さんが村上新一さんと共に最高のパンを追求され、以降パンとクッキースの伝統は守り続けられて行きます。
お盆の時期の夕方に訪れたので神橋店ではパンは全て売り切れでしたが、その後泊まった金谷ホテルの売店にパンが売られていましたのですかさず購入。17時からの館内ツアーに参加したり夕食にも朝食にもパンが楽しめたので満足でした。

そして藤岡が既視感を味わったのは横浜のウチキパンでした。
2軒とも伝統を作り上げたパン屋さんです。
ウチキパンは初代打木彦太郎さんが1888年(明治21年)元町『横浜ベーカリー宇千喜商店』を開始。山食パンのイングランドは130年以上の伝統を守り続けたイギリスパンです。

尊重されるべき歴史がありすぎてパン屋に入った時の雰囲気が似ています。

由梨と藤岡が2人で東照宮にいるイラストですが、彫刻が凄すぎてそのまま使わせて頂きました。

2人で3切のトーストを分け合う、一つずつ食べて残りの一つは手で半分にして、大きい方を相手に渡す。そんな2人は微笑ましいですね。

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